[ほけん知恵袋]

使わなかった保険料が「戻ってくる」医療保険やがん保険
TVを見ていたら久々にこの保険のCMが流れていました。

10年以上前に発売された保険ですが、掛け捨てを「もったいない」と感じる方々の心をつかんで安定して売れてるのかな？

業界では「リターン系」と表現したりします。
以下の特徴があります。
・60歳や70歳など契約時に指定した一定の年齢の時に、使わなかった保険料が戻ってくる
・途中で入院などをして受け取った給付金がある場合は“リターン金“から差し引かれる
・使わなかった保険料が戻ってきた後も、それまでと同じ保険料を支払い続ければ、終身で保障の継続が可能
（以降は使わなかった保険料が戻ってくることはありません）
・通常の医療保険、がん保険よりも保険料は割高
・使わなかった保険料が戻ってくる前に解約をした場合、戻ってくるお金は少なめ

私はこの種の保険をお預かりしたことは一度もありませんが、検討の際のポイントをご紹介します。
・保障内容
・毎月の保険料はいくらか？
・何歳で戻ってくるか？
・いくら支払って、何もなかった場合いくら戻ってくるか？
・特約部分の保険料は戻ってくるのか、来ないのか？
・「戻ってくる」タイプではなく、単純な掛け捨ての保険に入った場合との差額はいくらか？
・途中で想定外の入院などをして給付金を受け取り、設定した年齢ではその分差し引かれた金額となるかも？と考慮する

たとえば、35歳女性が、とあるリターン系の医療保険に加入した場合、
入院日額1万円、60歳で使わなかった保険料が戻る設定にすると、
毎月支払う保険料は6010円です。
60歳までに支払う保険料累計は、
6010円×12か月×（60歳-35歳）＝180万3000円

一方で、同様の保障の医療保険を完全な掛け捨てで加入すると、毎月の保険料は2090円という保険会社があります。
60歳までに支払う保険料累計は、
2090円×12か月×（60歳-35歳）＝62万7000円

この2つを比較すると、毎月3920円余計に支払うことで、途中で入院などしなかった場合全額が戻ってくるということになります。

ただし、完全な掛け捨ての医療保険に加入した場合、その差額を貯めていくことが可能です。
・差額を単純に貯めた場合で117万6000円
・（ちょっと金利高めの）銀行預金を想定して、年0.1％の金利が付くとすると、118万7895円
・仮に年3％で運用されたとすると、25年間の積み立てで163万3722円
・仮に年5％で運用されたとすると、25年間の積み立てで209万6123円
・
3％の運用では、何もなかった場合に戻ってくる180万3000円に届きませんが、
5％の運用だと、29万円ほど大きい金額が貯まっていることになります。

・リターン系の医療保険やがん保険
・掛け捨ての医療保険やがん保険　＋　資産形成

前者の方がかけ捨て感がなく、もったいなくないかもしれませんが、
後者も差額保険料をしっかりと貯めたり、運用することで、大きな金額を貯めることが可能です。

また、前者の場合、途中で入院などして給付金を受け取った場合、将来のリターン金からは差し引かれてしまいますが、
後者であれば、給付金を受け取ることと、資産形成は関係ありません。

もう一つ、何十年先のお金の話をするのであれば、「インフレ」についても考慮する必要があります。
前者の場合は物価が大きく上昇していても関係なく、当初予定されていたお金が“リターン”されるのみです。
後者の場合は物価が大きく上昇しているということは、普通預金の金利が上昇したり、運用資産もインフレの影響を受けて金額が大きくなっている可能性があります。

以上のようなことを考慮して、あるいはFP等に相談に乗ってもらって、じっくりご検討いただければと思います。

「掛け捨てじゃないなら、もったいなくない。お得！」
ではなく、
検討するポイントは複数ありますので、貴方に寄り添った話をしてくれる専門家に相談しながらじっくりご検討いただけたらと思います。

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