お子さんが独立する前は、「もし万一のことがあっても、子どもが独立するまで生活に困ることのないよう、また十分な学資も残せるように」と高額の死亡保障を用意している人が多いと思います。しかし、お子さんが独立した後は、老後を見据えた保障の見直しが大事になってきます。
お子さん独立後の死亡保障は、通常、それほど高額なものは必要ありません。葬儀費用を中心に必要な額を用意しておけばよい程度となります。ただし、次のようなケースでは、死亡保障を上乗せして準備しておく必要があります。
・お墓の購入費用まで用意したい
・もしもの時に、配偶者に死亡保険金を残してあげたい
・万一のときに、相続対策が必要
現在加入している生命保険を見直す場合、「今自分が死んだら、死亡保険金はいくら受け取れるのか?」「子どもの独立後の死亡保険金はいくらになっているか?」を確認し、保障が大きすぎると思うようなら減額をしましょう。
逆に「現在加入している保険だけでは不十分」という場合には、必要な分だけ追加で加入をするといいでしょう。とくに葬儀費用やお墓の費用、相続対策などが必要という場合は、いざというときに保障がなくなっていたということのないよう、できるだけ終身保険でカバーするようにするといいでしょう。
加齢とともに心配になるのが病気のリスクです。55歳~79歳までの死因のトップ3は次の通りです。80代では3位が肺炎になり、脳血管疾患が4位になります。
<55歳~79歳までの死因>
1位:悪性新生物
2位:心疾患
3位:脳血管疾患
(厚生労働省「平成28年人口動態統計月報年計」)
厚生労働省の試算によると、国民1人あたりの「生涯医療費」は2,700万円と推計されています(平成27年度 「医療保険に関する基礎資料」)。そしてこの医療費の半分は70歳以降でかかるといわれています。これは文字通り老後にはそれだけ医療費がかかるということを表しています(この金額はかかった医療費全額を表したもので、患者が実際に負担した金額ではありません)。
老後の医療保障は、いつ病気になるかわからないことを前提として年齢でなくなる保障ではなく終身で保障されている内容かを確認するようにしましょう。
老後の保障は、死亡保障よりも医療保障、とくに3大疾病へのリスクを意識していくことが大切になります。定期型の医療保険やがん保険に加入している人は、少し早めの40代のうちに終身型にしておくと安心度は増します。また、老後の経済的負担を軽減するために、保険料の支払いを60歳までに終えてしまうというのもひとつの選択肢です。
また、老後の3大疾病への備えを強化するため、悪性新生物、急性心筋梗塞・脳卒中になったら保険料の払込みが免除となる特約を付けたり、長期入院の際に給付金が出るような特約を付けるというのもひとつの方法です。自身で想定するリスクの大きさと保険料負担の重さを天秤にかけて判断するとよいでしょう。
いずれにしても、子どもが独立する時点で、不要な保障はなくし、必要な保障にコストを配分していくよう本格的な保障の見直しを行うことが大切です。
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